とらやの羊羹のように甘さたっぷり!?のレポート!

 午前中はさすが患者です、とらやは診察をうけていました。実は1週間前の診察で、鎖骨1本分(気胸の方にはいわずもがなで分かるだろう)肺が萎んでしまっていた。診察の数日前からこりゃあ気胸になってしまったなと自覚があり…仕事を休んでいたのだ。こんな時期に、しかも術後初めての気胸。また、エッグ?そして入院?のレールが私の脳裏に見え隠れして…不安がよぎった。この1週間、私にとってまたしても時間がとまった期間となってしまった。唯一励まされたのは、この時期開催されていた冬季オリンピックの選手の活躍、そしてりんださんからのメールだった。でも、2月22日の前々日あたりから症状も和らぎ始め、前日にはもう肺は膨らんでいる自信があった。

  当日のレントゲンもok!すぐさま診察を終え、栗原先生とは本日の打ち合わせに入った。お昼、りんださんからパンケーキを食べたとの内容のメールをもらう。私は病院食堂の日替わりランチ(牛丼とお味噌汁)。この食堂は退院時に親と何度か利用していた食堂だ。もぐもぐ。うーん。もぐもぐ。あーパンケーキいいなぁヽ(´o`;

   私は今日、司会進行の役割。13時前後には、りんださんや他の参加者も来るだろうからその前に進行文を頭に入れよう…と思ったら、りんださんと一緒に来たメルクルさんが声をかけて下さる。メルクルさん素敵なお方・・・でも、司会のことで頭いっぱいで話す余裕がなかった。  

   次々と参加者が声をかけてきて下さる。当たり前だけど、生身の人間を目の当たりにして、会えてうれしい反面、さらに緊張してきた。みんな、この病気を抱えているんだ。胸が熱くなった。準備時間はバタバタと過ぎていく。初めて顔を合わす人々、顔見知りの人、臨機応変にみんなが動き、会の開催に向けて刻々と進んでいく。   

   14時15分となった。開始の時間だ。進行を始めなくちゃ。あ、あ~緊張する~でも、自分をギリギリ保ってはいる。もっと堂々と始めれば良かった。りんださんの栗原先生への熱烈?挨拶が終わり、いよいよ学習会が始まった。  

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    学習会が開始。さすが、栗原先生。お話がお上手。パワポに釘付けとなる。今まで、仕事に関する学会や研修会にたくさん参加してきたが、自分の病気やその症例について勉強していることに、不思議な感覚を覚えた。  

栗原先生のお話は、この月経随伴性気胸の病気は、専門医がいないこと、治癒しても再発率が高いこと、研究が進んでいないこと等を理由に、患者は何を信じていいかわからない・・・から始まり、今後、患者会が情報交換をしていってほしいとの勇気づけられるお言葉をいただく。

    また、症状・健側肺・治療効果・手術、それぞれに対する4つ不安を解決していくことが必要とあった。痛みの症状があると再発か?と思ったり、健康な肺は大丈夫だろうかと思ったり、手術やホルモン療法などの治療効果はあるのか、術後の痛みはどうなっていくのかなど、この病気にかかったことによる様々な不安はこの病気を体験している方ならわかるだろう。とても、うなづけた。

 

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    次に片岡先生からは骨盤内の内膜症との関連についてのお話がある。実際の玉川病院の症例のデータからは、月経随伴性気胸と診断された症例の約7割は骨盤内の病変は認めず。また、あくまで推論だがと前置きがあり、内膜が新たに横隔膜で生着するには5年から10年くらいかかるのではないか、ならば術後の再発は新たな発生ではなく、胸腔内に残っている病変によるものではないかと推察されるとのことだった。たしかに、手術のときにすべては取り切れるわけではないとの説明を受けている。再発率が高くなるのも理解できる。じゃあなぜ、そもそも肺に内膜がとぶんだ?と、原因探しをしそうになってしまう。

    ただ、それだけこの病気が原因不明であること、研究を進めている片岡先生に感謝をしたいし、またさらなる研究が進んでいって欲しいと切に願う。  

    その後の質問コーナーでは、先ほどの先生たちの大変分かりやすい講義内容と参加者の質問や疑問をうまくつなげることができなかったと司会の力量不足を感じ…帰りの電車では、まぁ慣れないとなかなかね…と、一人反省会だった。だけど、痛みや不安についての質問とはまた別に、再発せず元気に過ごしている参加者の前向きな姿勢や質問に救われ、参加者もきっと勇気づけられたのではないかと思った。  

    休憩をはさみ、交流会。それぞれを知るための自己紹介コーナー。時間が足りなくて申し訳なかったが、限られた時間の中でその方の人生を少し触れた感じがした。同じ病気を体験したそれぞれの人生。そのお話を聴けるだけで意義深く、私はただただエネルギーをもらえた。

   その後はそれぞれのコーナーに分かれる。引き続き、おしゃべりグループ、やすこさんの親切・丁寧確定申告コーナー、栗原先生・片岡先生に相談にのってほしいコーナーの3つだ。私は、ワイワイおしゃべりグループの一つに入った。話が尽きないこと尽きないこと。術後の痛みのこと、再発のこと、飛行機の搭乗、低気圧の影響などなど、次から次へと質問や共感が続いていく。他の各コーナーも、やすこさんの親切・丁寧確定申告コーナーでは、やすこさんの真剣な眼差しに、やすこさんがやってることはなかなかできないよなと尊敬する。…あっという間に有意義な時間が過ぎた。予定していた時間より過ぎても、あちこちで話の花が咲き、盛り上がっていた。無事に終わった頃には、胸の痛みを感じたが、明日休めばきっと大丈夫だろう。

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 まとめ  

 第1回目という初めての立ち上がりの会というのに、温かいアットホームな雰囲気に驚いた。同じ病気の仲間に出会えた喜びを表しているかのようで、胸が熱くなった。  

 この病気は、学習会で先生が仰っていたように、治癒後の再発が多い。患者としては、予後(今後の病状についての医学的な見通し)が大変気になるところで、もちろん私もそうだ。予後は患者それぞれ違い、また予後は患者のこれからのQOL(生活の質)に大きく関わると思った。 ざっくり言うと、予後が良ければQOLは低下しにくいし、予後が悪いとQOLは低下しやすいだろうと思う。予後を少しでもよくしたい、しかし不可抗力なこともあるだろう。ただ、栗原先生が仰るように、この病気になったことによる様々な不安を解決していくことで、大丈夫だと自信をつけていくことが、例え再発があったとしてもその後の心身の回復は早いと思った。これはなんとなく体験からもそう思う。       

 そして、このように稀な病気は、情報量も多くないため、今回のように医療者から病気の知識を勉強できることは、必ずや私たちの力になるし、また実際に病気を体験した私たちの病気に対する疑問を医療者に返すことで、この病気の実態が少しでも解明されることを願いたい。また、同じ病気を体験した者同士、お互いに悩みや不安を聞いてもらうことで気が楽になり、救われ力をもらう。一方で、同じ病気だからこそ、気持ちがわかりすぎて辛かったり傷つくこともあるかもしれない。それでも、同じ病気を体験した者同士が出会ったことによる力はきっと、私たち個々の悲しみや苦しみを癒すと思うし、気づきや学びを与え、支え合う意味について教えてくれると思う。  

 甘すぎる…というより熱くなりすぎたので、もうやめます。とにかく、これからこの会がどのような軌跡を歩んでいくのかが楽しみだ。

 最後に栗原先生・片岡先生・溝渕先生を始め、玉川病院の関係者や、当日スタッフとして準備をしてくださった方、参加された皆様に感謝を申し上げます。ありがとうございました。

文責:とらや